「あんた、氷竜なのか」
「うん? 半分ね。厳密には氷竜の中の派生した霧氷竜なんだけど」
竜に種族があることは知っているがその中でどう細分化されているかなんて言うのはさすがに資料がない。
けろっと、当たり前のことのように青年は言ったが現代人がそんなこと知るわけがない……ということをそもそも知らないらしかった。閉じ込められてる、というのであればそれも仕方がないことなのだろう。
「どうしましょう、これから、こんな、どうしたら……」
「助けてあげよーか?」
「さっき出る方法ないっていってたじゃんよぉ」
「出る方法はないけど助けるのはできるよ、一時しのぎだけど俺の棲家に来たらいいんだよ」
「棲家? って、あなたどこに住んでるんですか?」
「山脈のあっちこっちに拠点があるよ。メインで使ってるのは山頂のとこだけどな」
「た、助けていただけるんでしたら」
「条件があるけどそれでもいい?」
「条件?」
「助けてあげるよ、ただし一人だけ」