「あいにくここには僕と妻しかいないんだ、大したもてなしもできそうにない」

「俺たちが何者か聞かないのだな」

「聞く必要がないからさ。なんせ君たちは、僕と妻の安心を安全を安泰を安寧を安穏を安静を安堵を(おびや)かし(おど)かし(おど)かし(おど)かし(おか)(おか)しに来た不埒者でしかないからだあああああアアアアアァァァァッッ!」

「思ったより話が通じなさそうだな」

「困った父親だよ」

 ビリビリと魔力の圧を感じるがアールの結界のおかげなのか大した衝撃ではないような気がする。シューシューと不穏な音で呼吸をしながら目の前の男はこちらに狙いを定めていた。

 距離は、目算でおよそ二十メートルほど、近づけなくないが相手の出方がわからない今うかつに近寄ると危ない。

 ジオルグは剣を構え、じりじりと距離を保つ。反対側へ距離をとるようにシンも後ずさった。