「出る方法はないのか?」
「ないね、言っとくけど俺に文句言わないでね。その門作ったの俺じゃないんだから」
やれやれといったふうに青年が首を振るとリッツが掴みかかった。
「そんな無責任な話あるぅ⁉ だいたい閉じ込められてるのは「罪の子」だけで俺たちは関係ないじゃん! 本当はあんでしょ、出る方法!」
「だからないって。そりゃね、閉じ込められてるのは俺一人よ、けどここに誰かが入ってくるって想定してないんでしょ。俺が出られないことに重点おいて作られてんのよ」
やんわりとリッツの手を外すと、大きなため息をつく。その指先の血色はいいし、吐いた息も凍らない。
ジオルグは頭の中で可能性を探す。この角と羽はなにか関係があるのか、ロンディウムの先祖返りたちと似たような容姿だがこんな氷のような角は見たことがない。
羽もそうだ。まるで氷を削り出したかのような、到底生き物のそれには見えない蝙蝠のような形のそれ。装飾としてつけているのかとも思ったが青年は自称『語り部(仮)』だ。もしおとぎ話のとおりであれば、彼は長寿の竜と魔法使いのダブル。竜は竜でも種族があったはずだ。だとしたらこれは先祖返りではなく竜の血が色濃く出ている状態。