シイは気づいた。
ああ、そうか。
アマルティアが愛しているのは、サイカだけなのだ。
子供には関心がないのだ、と。
そんなこととはつゆ知らず、サイカ自身は特になにも疑うこともなく子供を欲しがった。それ自体は別にいい。サイカの家族もアマルティアの家族も、無理はするなと言いつつ未来のもしかしたら、に心を躍らせていた。
あの絶望と痛みから救われるのであれば、サイカがそれを望んでいるのであれば。
シイは口を挟まなかった。
一年が過ぎた。
幸せそうだった。なにもかも、うまくいっていた。
二年が過ぎた。
ずっとずっと、それが続くと疑わなかった。
三年が過ぎた。
名付け親になってよ、とサイカとアマルティアがシイに言った。
四年が過ぎた。
生まれてきたその子は、シンと呼ばれた。
髪の色、目の色、肌の色、角、翼。どこからどう見ても二人の子に間違いはなく、同族であるサイカは直感的に悟った。シンの持つ竜族の属性が霧氷竜であることを。