アマルティアがどういう人物なのか包み隠さず教えれば、見極めるのは彼女の役目だ。そこまで口はだせないけれど、それでもなにか変化が、しかもそれがよい兆しであるのは、シイにとってもよい変化だった。

「アマルティアがね、花をくれたの。フリウェルの最西端にしか咲かないんだって。薄いピンクでね」

「サイカが幸せそうでボクも嬉しイ」

「いいの、かな。私、まだいろいろよくわかんなくて、でも、アマルティアが笑ってくれるのがすごくうれしくて」

「サイカはまだ十五歳なんだかラ、これからわかることのが多いでショ。ボクだって最初からこうだったわけじゃないヨ」

「うそお、精霊種は生まれたときから精霊種なのにっ」

「竜族だって魔法族や人類種より賢いでショ、おんなじことだヨ」

 亜種であるサイカと魔法使い、しかも平凡な、二人の結婚はきちんと祝福されるだろうか。

 いつしか友情から愛情へ形を変えたそれは誰にも止めようがなく、幸いシイの心配は杞憂に終わって、誰もが二人を祝福した。

 亜種と魔法使い。寿命の短いと言われている子供も、亜種の血を引いていればあるいは、と誰もが思った。子供はいなくてもいいとアマルティアは言っていた。魔法の使える種族は出産後に母体から新生児へ魔力もすこしずつ渡す必要がある。

 魔力量の多い亜種とはいえ、亜種と魔法使いの婚姻は前例がない。子供を産んでサイカがどうなるかわからない。杞憂ならいい。みんなの想像通り、そのまま、ただ普通に生きてくれるだけの体で生まれてこれるならそれで構わないしそう望む。だが、なにかもっと、亜種故のイレギュラーにサイカの体がついていかなかったら。