自分が母親を殺したと思っている。
自分のせいで父親が狂ってしまったと思っている。
この終わりのない銀世界で、誰もいないこの場所で、贖罪の機会も与えられず、自責の念に囚われている。
物理的なこの檻のもっと内側に、自罰的な感情を抱え込んだまま。
「聞くよ。聞いて、終わらせる。俺はもう、ここに用はないんだ」
「……んだべ。長くなるから、今日は山頂行くのあきらめてほしいべな」
「ああ。仕方ない」
アムが苦々し気に口を開いた。
「山頂に居るのは、亡骸。魂だけが空になった身体。その体の持ち主は……」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…