自分が母親を殺したと思っている。

 自分のせいで父親が狂ってしまったと思っている。

 この終わりのない銀世界で、誰もいないこの場所で、贖罪の機会も与えられず、自責の念に囚われている。

 物理的なこの檻のもっと内側に、自罰的な感情を抱え込んだまま。

「聞くよ。聞いて、終わらせる。俺はもう、ここに用はないんだ」

「……んだべ。長くなるから、今日は山頂行くのあきらめてほしいべな」
「ああ。仕方ない」

 アムが苦々し気に口を開いた。

「山頂に居るのは、亡骸。魂だけが空になった身体。その体の持ち主は……」