「三日後って……その間に死んじゃったらどうするつもりぃ⁉」

「それが君らの運で実力なんじゃないか? 俺には関係ないね」

「ちょ、ちょっと! 待ってください!」

 じゃあねー、と軽い口調で言うと飛び跳ねるような動きでさくさくと吹雪の向こうへ姿を消してしまう。吹雪がものの数十秒でその足跡をかき消してしまい三人には再び静寂が訪れる。

 凍ったまつげを軽くなぜるとぱらぱらと雪の結晶が零れ落ちた。

「とにかく、野営できそうな場所を探そう。天気は悪いが幸いまだ日が高いから視界は明るい。拠点とか言ってたから雪の当たりにくいところや洞穴があるはずだ」

「~~~ッ、なに冷静ぶってんだよ! 死ぬかもしれないってのに! あいつ、あいつっ次会ったらッ」

「ぶん殴るためにも生きてる必要があるな。いいか、カーミラ」

「……ほかに、選択肢とかなさそうですもんね」

 三人で連れ立って小一時間ほど歩くとそれなりの大きさの洞穴を見つけたので中に潜り込んだ。濡れてもいないし、崩れる心配もなさそうだった。近くにあった木の枝を無造作に折り取って洞穴で火を起こせば鼻と口を出しても問題なさそうなくらいの温度にはなる。防寒具を脱ぐわけにはいかないがそれでもだいぶましだった。

「あの男の言葉がどこまで信じられるかはわからないが、とりあえず三日だ。嘘だったなら、それはその時また考えるしかない」

「まだ、死にたくない……です……」

「めそめそしないでよねぇ、目が凍るじゃん」

 お湯を沸かせたことにひとまず安心したのか二人はいつもの様子に戻っており、ひとまず問題はなさそうだとほっとした。リッツが実際どう思っているか、カーミラが本当はどんな人間なのか、これから先どうするのかは街に戻ってから考えればいい。冒険者パーティは解散かもしれないとジオルグは思っていた。