1.
雨は嫌いだ。
服は濡れるし、それによって嫌な思いもするし。
いや、訂正したい。
好きではない。
雨は好きではない。
だけど恋しくもなる。
嫌いって言って好きではないとも言ったのに
恋しくなるっておかしいよね。
だって彼との思い出は雨の日で止まったままなのだから。
今ごろそっちは晴れてるといいな…

2.
気がつくと俺はお花畑にいた。
橋もあり花の匂いによってとても心地が良い。
天気は?空を見上げると雲ひとつない晴れ空。
そのまま寝てしまおうと思い地面に座ると
左手にお酒を持っていた。グッドタイミング!
ここでお花見でもしよう。
ラッパ飲みで飲もうとした時橋の向こうに人影が見えた。
「おーい。一緒にお花見しようぜー」
人影は返事をすることなく近づきその姿がわかる時には俺は
後ろへ走っていた。

気がつくとリビングにいた。
なんで逃げたかって?
それは橋の向こう側に死んだ母さんがいたからだよ。

3.
あぁ走馬灯ってこういうものなんだな。
幼いときの記憶からつい最近までの思い出が速く濃厚なほど濃く
思い出す。
初恋の記憶。
かけっこで一番になった記憶。
勉強を頑張った記憶。
部活で全国に行った記憶。
全て思い出す。
忘れていたことも思い出す。
その時亡くなった姉の言葉が浮かんできた。
「私の分まで強く生きてね」
姉さん!
俺は何をしているんだ!
こんなとこr、(バシャ!)



会社員が飛び降り自殺をしたそうだ。

4.
「さぁなんでも好きなものを食べなさい」
うちの家では考えられないほどの高級店に来た。
ステーキに最高級の刺身、そしてオーソドックスなピザやパスタ、カレーなどもある。
だがお腹はすいていなかった。
無理してでも口に入れると味もわからず飲み込んでしまう。
家族みんなで食べ始めて二時間は経っただろう。
お腹いっぱいだなと思った時涙が出てきた。
あぁこんなに美味しいご飯を食べることができて感動しているんだな。
その心も少しあったが本心ではない。

先がわかるのってしんどいよな。
やっぱり突然だったり段々との方がいいな。

次の日 僕は死んだ。

5.
何ヶ月前かは覚えてはないがそのくらい前に道徳の授業があった。
「皆さんはいじめを受けていませんか?
もし受けている人がいる場合は友人や先生に相談してください
いじめというのは心も体も傷つき命に関わります。」
先生はそう言うと教室を見渡した。
その頃はみんな入学したばかりでいじめはあっていなかった。
今でもいじめはあっていない。
でもなんでだろう。

担任の先生が二週間仕事を休んでいるなんて普通はありえないのにね。

6.
僕のいる部屋は苦しいほどに窮屈だ。
部屋にある物は最低限の家具と僕の感情。
今まで嘆いてきた言葉そのものが充満している。
辛いよ。苦しいよ。怖いよ。
だけどそんなにメソメソしていてはいけない!
今日こそは外に出るんだ。
空だって飛べるような気がしてくる。
ドアを開けて一歩踏み出す。
案の定空は飛べた。
そして僕は……見て言った。
「やっぱり地球は青いんだ」

7.
黒板の文字と睨めっこしてどのくらい経つだろう。
数字を見ていると吐き気を覚える自分が現れその自分と戦っている。
なんとしてもこの問題が分かりたい!
理解したい!
気持ちだけなら誰にも負けないが解くスピードは最下位だろう。
今まで生きてきた全ての記憶をフル回転して考える。
「先生!解き終わりました」
「山田くん。答えは?」
「はい!20+35=55です!」
山田くんは頭がいいんだな。
目から涙が出ていることには気づかずに彼を称賛していた。

8.
ここはどこだ?
真っ暗な部屋に閉じ込められている。
頭上にわずかな光が…
ジャンプをしたり壁を蹴ったりするが出られない。
諦めがつきじっとすることにした。
どれほど経っただろう。
急に光に向かって体が浮いていく。
その時走馬灯がよぎった。
口からは勝手に「ありがとう」と溢れていた。



先生!生まれました!
元気な男の子です。

9.
昔から異変には薄々気づいていた。
でもそれを口にしてはいけない気がしていた。
誕生日パーティーの時も。
旅行に行った時も。
夜 星を見ている時も。
言うタイミングはいつでもあったがこれを言えば全てをがなくなってしまう気がしていた。
だが明日で20歳。
けじめとしてここで言うべきだ。
食後のアイスを食べている母に聞いた。
「俺の本当のパパは誰?」