ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......
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オフィスの空間に、
高音のベルが響き渡り
再幻影粒子が 霧の様に

沸き
立ち上りゆく。

真っ白な霞で覆われた視界。

只、わたしの手を握る
譲夜咲カンジの温もりだけが、
狂いのない羅針盤の如く
記しとなると
わたしは安堵する。


「アヤカという華を、喩え違う名
で呼ぼうが、アヤカの身体から
昇る芳香が違えさせはしない。」

わたしの甲に唇を落とした
ままの姿でカンジが、
わたしの耳朶に響かせる様に、
告げる言葉。

(この男は、カンジ。)

其処には譲夜咲カンジとは
違う、カンジの手があり、

記憶の霧から
2人は
ゆうっくぅりと
解き放たれていく。


「初めての恋が、、、
憎いはずの貴方から
生まれたのは、神の悪戯ね。」

応えた わたしは、

晴れた空の下で、
背後からカンジに抱き締められ、
境内の中心に佇んでいた。

カンジも、わたしも
互いに周囲へ向けて、
警戒の視線を巡らせる。

「どちらも気配は無い。」

未だ、わたしの背後から
腰に手を回して抱くカンジから、
警戒を解く言葉が漏れた。

カンジを背にしながら
わたしは、
両の手に揺れるリヴァブベルを、
上着のポケット仕舞い、

「カンジ。何時から、貴方だった
のかしら。それとも始めから?」

背後のカンジに詰める。

思えば、所々怪しい素振りが
あったのだもの。

「アヤカが扉を入って来た時、
初めて迎合した日だと解った。
アヤカが、俺に抱かれる思案を
していたのだと解れば、
再び其のアヤカの素振りを
愛でたくて脳が痺れたよ。」

「随分と意地悪だこと。
やっぱりそうなのね。どうりで
覚えていない悪戯があった。」

指や手の内を撫でる仕草は、
わたし達が身体を繋いでからの
カンジが戯れはじめた
悪戯だから。

「ふ。」

カンジが不敵に片口元を上げて、
ニヒルに微笑すると、
其れだけで、
金木犀の薫りが
咲き誇り匂い立つ。

「この花、金木犀。母星コロニー
には香りがないから、こんなにも
華やかな薫りなんて知らなかっ
た。まるでカンジみたいね。」

「『陶酔』それとも『あの世』の
か。そんな花言葉だったか。」

「ふふ、どちらもね。」

境内には、
そろそろ日常の賑わいが戻る。
リヴァイブの間は
時間の狭間に入り込む為、
この時元人の介在は無い。

先程の様に、
ハウア母星の術者でない限り。

「アヤカ、どうするか。
あの時代の3つの聖遺物は、
違うと判断するが、どうだ?」

さすがに周りを観光客が
歩く様になると、
何時までもカンジと境内で、
抱き合っている訳にはいかない。

「ええ、1つがわたし達が時間
介入した事で発生したオーパー
ツなら、あとの2つも同じ事象
で発生した物だと思うの。」

カンジの問いに応えながら、
わたしの腰に回る逞しく、
刺青を湛えた両の腕を
わたしは叩く。

追っ手をカンジが
消滅させた時、
彼等の白祭服が歴史に残る事で
オーパーツになる。

確実に追っ手は
過去、
この時間に介入して
わたし達を捜索している。

あとの2つは、
追っ手か、わたし達かが
逃走や捕獲の際に
歴史に残した『漂流物』だと
容易に想像できた。

「それは要するに、あの後に我ら
側の追っ手が時間介入している
可能性が高いという事だな。」

そう思案するうちに
カンジは、
わたしの耳元で呟くと

回した手の平を解く合図に、
少し下部へ移動させた手で
わたしの子宮上を撫でるのだ。

結局
カンジは、
わたし達の時間軸では等の昔に
放棄した、
旧地球の生殖行動を
いたく気に入っている。

「きっと、そう。だから、
お参りをして此処を出ましょ。」

この合図は、今宵も激しく閨事に
興じたいとの仕草。

だから
わたしはカンジの言葉に疼く様に
頷くと、
朱色が美しい舞殿から、
本宮にと
カンジに肩を抱かれながら
予想震える
自分の足を向けた。