会社を早退して物販に並んでいたら
ライブ中止の連絡が耳に届いた。

膝から崩れ落ちるっていうのは、こーゆーことなんだと身をもって知った。
私は冬の寒空の下、アスファルトに手を付いて本当に崩れていた。

終わった。
人生終わった。詰んだ。

耳鳴りがガンガンする。
いや中止って……中止?えっ!もうあの建物の中には全員揃ってるんだよ。リハやってたんじゃない?この半径20メートル以内にきっとたぶん絶対メンバーいるよ。あと会場開いてライブやって盛り上がるだけなんだよ。

あちこちで悲鳴のような声が聞こえる。知らない人が見ると怪しい集団に見えること間違いなしだ。でも立ち直れないし起き上がれない。目線を前にすると似たような四つん這い姿勢で女子高生が涙目で私を見ていた。

同士よ……終わったな私たち……。

あちこちでライブが中止になっていたから、小さな予感はあった。
でもベースのよっしーの生誕祭だから、絶対やると信じていた。実際今までに何も連絡はなかったから、今日はやるんだと信じていた。
セトリも昔のアルバムからセレクト曲もあり、もうこの日の為に頑張って仕事していたようなものだった。楽しみで楽しみで楽しみでチケットに当選した時は舞い上がってパワハラ上司にも笑顔で接していたくらいだったのに。

4時間前の中止ってどーよ。

もう涙も出ない。このままアスファルトに溶けて一体化してしまいたい。