俺は凄腕の殺し屋だ。

成功率100%の完璧な殺し屋だ。

ターゲットに静かに近寄りナイフで急所を一突きすると、相手は声も出さず静かに倒れこみ命を終わらせる。業界での評判も高評価だった。

稼いだ金は酒と女とギャンブルに使う。派手に遊んで金が足りなくなったらまた仕事をする。そんなことの繰り返しで楽しくやってきたが

ソーシャルな世の中になり
ターゲットに触れるのが怖くなってきた。

返り血を浴びたらどうしよう
相手の飛沫を浴びたらどうしよう
急にマスクを外してきたらどうしよう。

こっちもいつもマスクと手袋をしていて、気にする必要はないけれど……なんか……嫌だ。仕事を完璧にこなす俺としては、引っ掛かる問題は見過ごせない。だから今は他人と接触したくない。

『今が一番仕事しやすいでしょう』
呆れ顔で後輩に言われるけど、やっぱりなんか……嫌だ。

自由と金が手に入るからフリーを選択したが、失敗だった。
組織に加入している仲間はダミー会社に入っていて、ワクチンの職域接種を済ませたらしい。うらやましい話だ。

射撃の腕も自信がない。接近戦が得意だから。

生活費の不安から、普通の生活に戻るまで転職しようと思って今日は面接にやってきた