籍を入れて正式な夫婦になる。

特に生活は今までと変わりはない。
拓ちゃんの希望通りに生命保険だけは拓ちゃんの口座から二人分引き落としになった。
会社のみんなからの贈り物で、ウェディングフォトの中の一枚を引くくらい大きなパネルにしてくれた。それと一緒に家の中を埋め尽くすハートのバルーンをもらい、とっても邪魔で脱力していたけど、拓ちゃんは大喜びで感動していた。拓ちゃんが満足してから片付けてもらおう。

ほぼ拓ちゃんが主夫になり、私も普通に仕事をしていた。
拓ちゃんのお母さんは拓ちゃんのよく電話をくれるけど、私にはノータッチだった。

実家に帰るのは拓ちゃんだけ帰そうと思っていた。
拓ちゃんは実家が好きで、あちらも私の事は嫌いでも拓ちゃんの事は大好きだから完璧な案と思っていたら、拓ちゃんが私と一緒じゃないと帰らないと言い出した。

それは困る。

仕事が忙しいとか、急にドタキャンとか色んな方法を考えたけど、拓ちゃんはガンとして私と一緒じゃないと帰らないと心に決めているようだ。

本当に困る。

だから
お盆とお正月のお休みだけ
私は拓ちゃんと一緒に帰って地獄の一泊二日を過ごしていた。

お母さんは相変わらずで拓ちゃんしか目に入らず、ベタベタと世話を焼き私をスルーする。
兄嫁は上から目線で主婦のアドバイスをしてくれる。家の事はほぼ拓ちゃんに任せているので、聞かなくていいのだけど一応『はいはい』と聞いていた。

たまに仕事のアドバイスも入れてくる。
『優奈さんって会社の広報なんでしょう。CMとかもやってるの?あのね、私考えたんだけど、今の消費?ってゆーのか、ユーザー?ってゆーのか、主婦を大切にしないといけないと思うの。だからぁ、私みたいな一般的な主婦が出て、CMでだんだん磨かれて美しくなっていくってゆーのはどうかしら?庶民感覚は大切だと思うのよ。私ならいつでも大丈夫よ安く使っていいわよ。CMとかのモデル料はもらうけど』

そう言われてさすがに目が死んだ。