ある日の日曜日。
初めてご挨拶に行く時
車の中で緊張気味の私に拓ちゃんはこう言った。

「優奈さんのご家族みたいに都会的じゃないんだ。両親も兄も兄嫁もずっと地元で、言い方とか多少雑なところはあるけど、裏表がない性格だから気にしないで。きっと気に入るよ大丈夫」

拓ちゃんは都会を離れて実家が近づくにつれ笑顔が増えている。鼻歌なんて歌っちゃってご機嫌だ。口数の少なくなってきた私を心配してか、信号待ちで拓ちゃんはそっと私の握る。

「こんなに大好きで大切な人を、家に連れて帰って家族に紹介できるなんて。今、最高に幸せ」

「ありがとう」
正直にそう言って彼の手を握り直す。

「本当に日帰りでいいの？疲れない？ゆっくり泊まって楽しんで欲しいんだけど」
こんなに残念そうな声を出すなんて、大歓迎を期待していいのかな？って、浮かれ脳の私は微笑ましくそう思ってしまった。

「ご挨拶だよ。拓ちゃんが疲れないなら、今日は初日だから帰りたい」
明日の仕事の準備もあるし。

「そっか……残念だけど、優奈さんがそう言うならいいよ。次は泊まろう」

「そうだね」

拓ちゃんがいるから大丈夫。
そう、大丈夫。結果大歓迎だった


拓ちゃんをね。