一緒に暮らして早くも半年経過した。
拓ちゃんと暮らす毎日はとても心地よく、優しく癒された。
在宅仕事が多い拓ちゃんは家事が好きと宣言している通り、部屋をいつも綺麗に掃除して、私が家に帰るとお風呂もご飯も用意していた。残業とか飲み会終わりで遅く帰ると、美味しい夜食まで作ってくれていて、笑顔が優しい完璧な主夫だった。

共通の友達の飲み会で知り合い付き合いが始まって、拓ちゃんは私のマンションに転がり込んだ。彼は私にとって大切な人だったけど年齢差も収入差もある。
そのうち誰か若い女の子を好きになり、去っていく人だろうと思っていた。
その時は笑顔でさよならしようと思っていたのに

プロポーズ?した?

「えーっと……一緒に暮らす時に、話した内容を忘れたかな?」
夕食後のひと時
ほうじ茶の入った湯呑みを手の中でグルグル回しながら、私は自分を落ち着かせる。

「覚えてる」
拓ちゃんは私を見つめてしっかり返事をした。

半年前、私は拓ちゃんに自分の気持ちを伝えた。
楽しく暮らそうね。
結婚は私からは求めないから、今を楽しく過ごそう。
私は仕事人間だから主婦に向いてないんだ。結婚にも向いてない。
好きな子ができたらいつでも出て行っていいからね……と。