受付嬢に告白したくてギルドに通いつめたら英雄になってた

《 第61話 作戦会議 》

 作戦を立てるため、僕たちは8合目の山小屋に引き返した。

 砂糖たっぷりの紅茶を飲み、いよいよ作戦会議を始める。


「城を金ぴかにした新しい魔獣についてだけど――」

「そ、その前に、これ壊しちゃだめなのだ?」


 ドラミが壁を指さした。

 そこには金ぴかのメデューサ像が置いてある。

 あのままにはしておけないので山小屋まで運んできたのだ。


「これを壊すのはあとでだよ。いま壊したら中庭の石像が復活するからね」


 最終的には復活させるけど、いまはまだそのときじゃない。

 いま復活すれば、今度は金ぴかにする魔獣に襲われてしまうから。


「たしかに何度も怖がらせるのはかわいそうだけど……だったらいつ壊すのだ?」

「金ぴかにする魔獣と戦う直前がベストかな。金ぴかにする魔獣を倒したあとだと、今度は復活したメデューサと戦うはめになるからね」

「……本当に金ぴかの魔獣を倒したら、黄金像は復活するのだ?」

「わからないけど……いまはそう信じるしかないよ」


 現時点で明らかなのは、石像と同じく黄金像も生きているということだ。そうじゃなければメデューサはすでに討伐されていることになり、中庭の石像も復活しているはずだから。

 いまは金ぴかの魔獣を倒せば黄金像にされた人々も復活すると信じるしかない。


「そんなわけだから、金ぴかにする魔獣の倒し方について話したいんだけど――」

「その前に、金ぴかにする魔獣の名称を考えたいのだ」

「……キラキラ魔獣とか?」

「もしくは、ゴールデンモンスターなのだ」

「ドラミの案でいいよ」

「ありがとなのだ!」


 自分の案が採用されて、ドラミはちょっぴり嬉しそう。


「よーし! ゴールデンモンスターの倒し方を考えてやる――ひぐッ!?」

「どうしたの?」

「い、いまメデューサの視線を感じたのだ……」

「だいじょうぶだよ。見られたところで石にはされないんだから」

「で、でも落ち着かないのだ……」


 おそるおそるメデューサに近づき、うしろ向きにしようとする。

 かなり重そうだったので、僕がうしろに向けることに。


「これで落ち着けそう?」

「い、いきなり振り向きそうで怖いのだ……」

「だったら……これなら?」


 メデューサの頭に白い布をかぶせると、ドラミは安心した様子。


「もう会議できそう?」

「できるのだ! ……だけどなにを話し合うのだ? だってドラミたち、ゴールデンモンスターの姿を見てないのだ。城にいるかもわからないのだ……」

「わざわざ城を金ぴかにするくらいだし、愛着が湧いて城に棲みついてるんじゃないかな。城内のどこにいるかはわからないけどね」

「どこにいるかも、どんな姿かもわからないのに、倒し方を思いつくのだ?」

「さすがに難しいから、まずは姿を確認したいかな」

「ま、また城に入るのだ……?」

「ううん。城外におびき出すよ。で、僕たちは安全なところから姿を確認するんだ」

「どうやっておびき出すのだ……?」

「ドラミの力を借りたいんだ」

「ぎらぎら星でおびき寄せるのだ!? が、頑張るけど……怖くて上手に演奏できる自信がないのだ……」

「そんな危ないことさせないって。ドラミには雪像を作ってほしいんだ。人間にしか見えない、とびきりリアルな雪像をね」


 城全体を金ぴかにするくらいだ。ゴールデンモンスターは、目につく石像すべてを黄金像に変えたはず。

 とすると、城の近くに金ぴかじゃない像があれば、金ぴかにしようとするはずだ。


「なるほど! それは名案なのだ! 頑張って立派な雪像を作るのだ!」

「ありがと! 雪像のサイズは僕くらいでお願いね。人間に見えるように、僕の服を着せたいから」

「わかったのだ! さっそく作るのだ?」

「ううん。もう日が暮れるし、雪像作りは明日にしよう」


 作戦がまとまり、今日のところは寝ることに。

 食事を済ませた僕たちは明日に備えてさっそく寝袋にもぐりこみ――


「……落ち着かないのだ」


 メデューサが気になって、なかなか眠りにつけないみたい。


「ドラミが寝るまで見ててあげるよ」

「ありがとなのだ……」


 そうしてドラミが寝息を立て始めたところで、僕も眠りについたのだった。