弓槻くんの後ろを歩いていると、校門へ到着した。

 シロちゃんの生まれ変わり候補の一人、仙田朔矢に話を聞きに行くということだったが、学校の外で会うのだろうか。

「これからどこに行くの?」

「仙田朔矢のところだ。彼とは去年同じクラスで、面識はある。すでに話を聞かせてもらう約束もしてあるから安心しろ」

「わざわざ学校の外で?」

「ああ。彼は忙しいからな。こちらが出向く形になる」

「それで、どこへ向かってるの?」

「そう急かすな。すぐに着く」

 弓槻くんに言われ、黙って彼の後ろをついていく。
 彼に全部任せっきりなのだから、何も文句は言えない。

 五分ほど黙って歩いたころだろうか。

「『D-HAL(ディーハル)』という店は知っているか?」

 無駄のない歩き方で私の前を進む弓槻くんが、振り返らずに言った。

「なんとなく、名前は聞いたことあるような気がする」

 私はハンカチで汗を拭きながら答える。どこで聞いたんだっけ……。

「カフェなんだが、その場所が……」

 彼は一軒の店の前で立ち止まる。

「ここだ」