「おっと、両想いだったか?」

「そっ、そんなことあるわけ――」

 慌てて反論しようとした瞬間、弓槻くんに遮られる。

「冗談だ。浮かれてるのか?」

 いつも通りの静かな声に、少し不機嫌な色が混じっていることに気づく。

「べ、別にそんなんじゃないよ。ただ、人気者とお近づきになれてちょっと嬉しいなぁ、くらいの気持ちだって」

「本当か?」

「わかってるよ。ちゃんとシロちゃんの生まれ変わりを探すっていう目的は見失ってないから安心して」

「そうか……」

 そのあとに「わかってないじゃないか」と、彼が小さく呟いた気がしたけど、空耳か何かだろう。

 そして、少し遅れて違和感に気づく。なんで弓槻くんは私をからかうようなことを言ったのだろう。

 ――全ての可能性を見落とすまいと追及する姿勢は必要だ。

 昨日はそんなことを言っていたのに。矛盾しているような気もする。だって燈麻くんは、本当に運命の相手かもしれないわけで……。

 まるで、燈麻くんがシロちゃんの生まれ変わりではないと確信しているような感じだった。

「次は仙田(せんだ)朔矢(さくや)だ。行くぞ」

 弓槻くんは立ち上がって、飲み終わったジュースの缶をゴミ箱に捨てた。

「う、うん」