「それと、これもうまく説明できないんだけど、記憶がよみがえるときには、月守風香の感情というか……気持ち、ともちょっと違うのかな。とにかく、彼女がそのとき感じていることも一緒に情報として入ってくるの。それで、シロちゃんを見た瞬間に……その、好きになったこともわかって……」
好きになったのは月守風香であって私ではないのに、恋愛相談を持ち掛けているみたいで恥ずかしくなってしまった。
いや、月守風香が本当に私の前世なら、私自身が好きになったようなものなのかもしれない。
「ふむ」
弓槻くんは顔色一つ変えずにうなずく。
「それよりも、シロちゃんが家庭科の授業をサボった理由はなんだ」
私が勇気を出して話したことを〝それ〟呼ばわりされて少し落ち込む。
「さあ。でもシロちゃんの口ぶりからして、何か理由があるような感じではあったけど……」
ちょうどその理由をシロちゃんが話そうとしていたとき、記憶が途切れてしまったのだ。