「ご、ごめんね弓槻くん。藍梨が言ってたことは気にしないでいいから」
「ああ。別に気にしてない」
「そっか……」
気にしてないんだ……。
弓槻くんの答えに、少しだけ残念だと感じたのはどうしてだろうか。
「それにしても、彼女はどこの部活なんだ?」
弓槻くんがポツリと呟いたのは、藍梨が、右腕で平たい将棋盤を抱え、左手でけん玉を持っていたからだろう。さらに、背中にはバドミントンのラケットまで背負っている。
「さあ。非公式のものも含めると、十種類くらい所属してるらしくて、私も把握しきれてない」
「……」
さすがの弓槻くんも声が出ないらしい。とにかく、澤幡藍梨は、明るくて可愛くて多趣味で行動力のある女の子で、私の自慢の親友だ。
私たちは、一度オカルト研究同好会の部室に戻った。
一つだけ気になることがあったので、聞いてみることにする。
「霊力の高い黒猫が、って話。もしかしてチョコのこと?」
與くんの、猫がどうかしたのかという質問に対して、弓槻くんが答えた内容だ。