そんなわたし(●●●)の目に映るのは、凄惨たる光景だった。

 わたし自身も、首から下はコンクリートの破片の下敷きになっている。

 そして――目の前には、苦痛に顔を歪める男の子がいた。

 その男の子を、わたしは知っている。

 わたしの、運命の相手だ。

 だけど、名前がわからない。

 知っているはずなのに、出てこない。

 でも、好きだということはわかっていて。

 永遠の愛を誓い合った仲で。

 わたしを大事に想ってくれる人で。

 わたしの一番大切な人で――。

 彼もわたしと同じように、瓦礫に埋もれている。頭からは、真っ赤な血が流れ出していた。内臓に被害が及んでいるからだろうか、口からも流血がある。

「シロ……ちゃん」

 わたしの口から発せられた、弱々しい声。

 目の前の瀕死の男の子は、シロちゃん。わたしは彼のことをそう呼んでいた。

「……風香(ふうか)

 すると、彼も同じくらい弱々しい声で、わたしの名前を呼んだ。

 そうだ。月守(つきもり)風香。

 それがわたしの名前だった。