「例えば性別と血液型だと、その条件は、生まれ変わる前が未成年の人間であること、みたいな感じ?」
「そうだ。今回はその例を逆に利用して、候補を絞り込んだわけだ。そして、その継承の条件の大半は明らかになっていない。引き継がれると考えられているもののうち、条件がまだ判明していないものは、推測の域を出ないものばかりだ。証明されなければ、ただの偶然ともとれる。生まれ変わりの研究において、現在最も力を注がれている領域と言っても過言ではない。しかし一つだけ、無条件で引き継がれるものがある」
無条件という言葉に反応する。それは、シロちゃんの場合にも当てはまっているということで。
「その、無条件で引き継がれるものって?」
私は続きを促した。この先の展開で、とても重要な手掛かりになるはずだ。
「恐怖の記憶だ。トラウマや恐怖症と言った方がわかりやすいかもしれないな。前世で怖かったものが定着したまま生まれ変わる、というイメージだ。例えば、高所恐怖症の人間の生まれ変わりは、高所恐怖症である可能性が高い」
「なるほど。でも、可能性が高いっていうのは?」
可能性だったら、無条件ではなくなってしまうじゃないか。