そんなわけで、私たちは食堂で向かい合って昼食を食べていた。
 学生に優しい値段だし、ボリュームもそこそこ。
 私はチキンカツ丼、弓槻くんはハンバーグ定食である。

 彼は不思議なことに、スプーンを使ってハンバーグとご飯を食べていた。
 疑問に思って質問をしたところ「楽だから」という単純な答えが返ってきた。

 たしかにフォークとナイフよりは楽かもしれないけど、せめて箸じゃない? スプーンって、小さい子供じゃあるまいし……。

 わかってたけど、やっぱり変な人だな。
 そんなことを思いながら、私はチキンカツを頬張る。

「候補が四人まで絞れたのはいいけど、この先はどうすればいいの?」

 二人とも昼食を食べ終えて、そのまま食堂で話を始めた。

「そうか、まだ言ってなかったな。ここからはかなり運次第なところがある。すぐに見つかるかもしれないし、一生見つからないかもしれない。どうなるかは君の、いや、月守風香の記憶にかかっている」

 一生見つからないって……。

「どういうこと?」

「生き物の生まれ変わりというのは、まったく別の個体として生まれて終わり、というわけではない。前世から引き継がれる特性や体質が、いくつかある。先ほど話したような、性別や血液型もその一部だ。だが、特性や体質が継承されるには具体的な条件がある」