「昨日言っただろう。シロちゃんの発言もすべて信じて進める、と。たしかに、一学年下の生徒として嶺明高校に入学しているかもしれない。しかし、あらゆる可能性を考慮すれば、なんらかの理由で運命が捻じ曲がって、この高校に入学できなかった可能性まで考えなければいけなくなる。考え出したら極端な話、シロちゃんが人間に生まれ変わっているかどうかすら確信が持てなくなってしまう。だからまずは、俺たちと同じ学年の生徒の中から、シロちゃんの生まれ変わりを探す。一年生や学校外の人間について考えるのは、この学年にシロちゃんの生まれ変わりがいないことが判明してからだ」

 私の質問があらかじめ予測されたものであるかのように、彼の口からはすらすらと反論が出てくる。

「そっか。そうだよね。……ごめんなさい」

 あせりすぎて細かいことに気が回らなくなっていた。ちょっとした自己嫌悪に陥る。

「いや、それでいい。何事にも疑問を持たなくては、解決できるものもできなくなる。今みたいに、全ての可能性を見落とすまいと追及する姿勢は必要だ。君のあせる気持ちもわかる……とまでは言えないが、多少神経質になるのは仕方のないことだ。まずはできることから進めていこう。それが、一番の近道になるはずだ」

 できるだけ穏やかに喋っているつもりなんだろうけど、口調のせいで固苦しくなってしまっている。しかし、それが私を慰めようとしてのことだというのはわかる。優しさと冷静さを併せ持つ弓槻くんの台詞に、私は励まされた。

「ありがとう」

「さて、シロちゃんの生まれ変わり候補が、この四人だ」

 弓槻くんはバッグから取り出したタブレットを操作し、私に見えやすいように向きを変えて差し出す。どうやら、メモアプリをメモ帳の代わりに使っているらしい。