「現時点で高校二年生である人間は、特別な事情がない限り、十七年前の四月一日から翌年の三月三十一日までの間のどこかに生まれている」

 そこで、私にも彼の言いたいことが理解できた。

「あっ!」

 私も一昨日、自分の生年月日と月守風香の亡くなった日を比較して考えたじゃないか!

「当たり前のことでなんだか間抜けな発言だが、シロちゃんは事故に遭うまでは生きていた(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)。つまり、彼の生まれ変わりである人間の生年月日は、十七年前の十一月十九日より後でなくてはならない。これで十四人だった候補がさらに絞られて、四人になった」

 弓槻くんは相変わらず無表情ではあるものの、自信に満ちているのがわかる。

 突如よみがえった前世の記憶が、私を立ち止まらせるほどの強い向かい風なら、弓槻くんの存在は強い追い風だ。

 この学校全体からシロちゃんの生まれ変わりを探すと思うと、困難そうな気がしていたけれど、四人ならどうにかなるかもしれない。

 勇気を出して彼に相談してよかったと、改めてそう思った。
 
 しかし、一つだけ気がかりなことがあったため、質問する。

「待って。それなら一年生は? AB型の一年生の男子だったら、シロちゃんの生まれ変わりである条件に当てはまるんじゃ……」