「例の記憶の中で彼は『血なら誰からでも貰えるから』と、そう言ったんだろう?」

「あっ、そっか!」

 弓槻くんの言葉を聞いて、私もすぐにわかった。

 AB型の人には、全ての血液型の血を輸血することができると聞いたことがある。

「そういうことだ。ただ、Rh抗原だったり、他に珍しい血液型もあったりして、誰からでも貰えるというのは正確ではないがな」

「へぇ」

 そういったことに詳しくない私は、そんな返事しかできなかった。

「日本でAB型の血液を持つ人間の割合は約九パーセントだ。この学校にAB型の人間を引き付ける不思議な力でもない限り、かなり人数は絞れるはず。で、思った通り、百五十九人の候補が十四人になった。ここまではいいか?」

 聞きたいことがあったが、話を先に進めたいため、とりあえずうなずいておく。

「研究で得た知識では、候補の絞り込みはここまでが限界だ。しかし、それとは別の条件で、十四人をの候補をもう一段階絞り込むことができる。事故が起きたのは十六年前の十一月十九日でいいんだったよな?」

「そうだね」

 別の条件ってなんだろう。
 専門的な知識が必要なわけではないみたいだけど、私にはさっぱりわからない。