タブレットを操作しながら「少しやることがある」と言う彼と別れて帰路につく。学校から駅までは、もちろん安全運転だ。
家に帰り、少し遅めのお昼ご飯を食べて、ひたすらゴロゴロした。
昨日もたくさん寝たけれど、テストの疲れもまだ残っている。
そして何よりも、前世の記憶というとてつもない問題を抱えている。
せっかく午後がまるまる空いているけれど、勉強をしたり、外に出かけたりするような気分には、どうしてもなれなかった。
前世の記憶に関しては、まだまだ理解の及ばないことばかりだけれど、今朝よりも不安は小さくなった。これも弓槻くんのおかげだ。
暗くて不愛想。私が弓槻くんに抱いていたそんなイメージを、彼はものの数十分で壊した。
仲良しな猫がいたり、真顔で冗談を飛ばしたり、親身になって……くれていたかどうかはちょっとわからないけれど、私の悩みをしっかり聞いてくれた。
生まれ変わりの研究もしているらしく、前世の記憶について何かわかるかもしれない。
かなりの変人だけど、いい人だと思う。
とにかく、協力者が見つかって安心だ。
そのままなんとなく、いつも通りテレビを見たり本を読んだりしながら過ごして夜を迎える。
ベッドに寝転がりながら、ボーッと考えごとをしていると、一つだけ新たに疑問が生じた。
私の嶺明高校への入学が、運命に導かれたものだと仮定する。
ならば同じように、運命によってシロちゃんの生まれ変わりに恋をするのではないか。
そもそも、前世の記憶がよみがえり、シロちゃんの生まれ変わりを探し始めるという私の行動自体が、運命に支配されているものなのかもしれない。
どうも考えがまとまらない。
弓槻くんには何か考えがあったようだった。明日また考え直すことにしよう。