「シロちゃんが生まれ変わりの存在を確信したような台詞を言っていたことについては、よくわかりません。でも、去年の四月を指定したことに関しては、一応私なりの考えはあります」

「……」

 彼は無言で待つ。真剣な表情だった。

「前世の私……そう仮定して話しますが、月守風香たちが亡くなったのは中学三年生でした。死ぬには若すぎます。付き合っていたとはいえ、やり残したことはたくさんあるでしょう。シロちゃんは、高校生からまた新しくやり直したいと、そう考えたのではないのでしょうか。なぜもっと早く出会おうとしないのか、という疑問に対する答えにはなってないですけど……」

 弓槻くんの鋭い視線に、私の声はだんだんと小さくなっていく。変なことを言ってしまっただろうか。

「なるほど。弱い気もするが、説明はつくな。なんにせよ、情報が足りなすぎる。ここは、君の話と、記憶の中の彼の言葉を信じて進めるしかないか……」

 突拍子もない話を聞いてくれたうえに、それを信じてくれると言う。その展開を期待していたにもかかわらず、むしろ私の方が困惑していた。

 数秒間の沈黙が流れたあと、弓槻くんは口を開いた。


「それで、君はどうしたいんだ?」


 その質問に、私はすぐに答えを返せなかった。