「まずは、信じる理由がいくつか。君が演技をしているようには見えないということ。生まれ変わり自体を信じる理由にはならないが、作り話やドッキリを否定する材料にはなる。それに、これが君の作り話やドッキリではないと仮定した上での考えだ。君は実際に、この嶺明高校に入学している。記憶の中で、シロちゃんとやらが言っていた通りになっているんだ」

「私も、そのことについてはびっくりしているんです。特にこの学校に入りたい具体的な理由はないのに、なんとなくいいな……って。いつの間にか、この高校にひかれてたんです」

 言いながら同時に、弓槻くんがすぐにその点に言及したのにも驚いた。あとで私から話そうとしていたのだが……。

「なるほど。運命に導かれているということなのかもしれないな。次に、疑う理由だ。君の記憶の中で、シロちゃんは、まるで生まれ変わりがある(●●●●●●●●●)ということを確信したかのように言ったそうだな」

「はい」

「中学生とはいえ、精神的には現実を見据えている年齢だ。オカルトを研究している俺が言うのもなんだが、普通なら生まれ変わりなんて信じない」

「ああ、それは……」

 言われてみれば、たしかにその通りだ。思い至らなかった。

「それだけじゃない。なぜ彼は去年の四月を指定したのか。生まれ変わってもまた出会えるというのなら、なぜもっと早く会おうとしないのか、ということも疑問の一つだ」

 聞きながら、弓槻くんの頭の回転の速さを思い知る。

 正確に情報を処理し、疑問点を即座に打ち出す。

 淡々とした話し方と相まって、まるで推理小説の探偵みたいだと思った。