「弓槻くんが冗談なんて、意外ですね」

 ホッとしたせいか、ついそんな台詞が出てしまうが、すぐに失礼だったと反省してフォローを試みる。

「あ、いや。弓槻くんってもっと……なんかこう、クールなイメージがあったので」

「気にしなくていい。冗談を言い合う友人がいないだけだ」

 彼は自嘲気味に笑う。
 またもや意外な発言だった。

 私が思い描いていた彼の性格とは、いくらかギャップがあるように感じる。

 彼の柔らかい微笑を見て、さっきの冗談は、私の緊張をほぐそうとしてくれた優しさかもしれないと思った。

「幽霊は冗談だが、少し変わった会員ならいるぞ」

「え?」

「会ってみるか?」

 遠慮しておきます。そう伝える前に、弓槻くんはすでに立ち上がって、段ボールの積まれた方へ向かっていた。

 仕方なく、私もそれに続いた。自分の身長よりも高い段ボールの山をくぐり抜けて、奥へと進む。入り組んでいて、まるで迷路のようだった。