弓槻くんに連れられてたどり着いたのは、オカルト研究同好会の部室だった。

 文化部の部室が並ぶ廊下の、一番端に位置している。

 部室前の電球は切れかかっていて、時折チカチカと点滅する。

 普段なら私は絶対に来ないような、目立たない場所だ。

 弓槻くんがドアを開けて、部室に入っていく。

「お、お邪魔します」

 私もそれに続く。

 部室内は、大量の段ボールに占拠されていて狭かった。安っぽいパイプ椅子とテーブルだけが、かろうじて部室らしさを演出している。他の部室にありがちなテレビゲームやコミック雑誌などは、どこにも見当たらない。

「とりあえず座ってくれ。申し訳ないが、お茶もコーヒーも出せない」

「あっ、いえ、大丈夫です。お構いなく。他に会員はいないんですか?」

 パイプ椅子に座りながら質問を投げかける。

「いるよ。幽霊会員が何人か。それと、本物の幽霊が」

 ふいに弓槻くんが斜め後ろを見るものだから、つい私もそこに目を向けてしまう。が、見えるのは段ボールの山だけだ。

「え? ゆ、幽霊?」

 背筋がピンと張り詰める。少し、いや、かなり怖いことをおっしゃる。

「……冗談だ」

 一瞬、本気で信じてしまった。
 安堵して、肩から力が抜ける。伸びていた背筋も元通り。