さらに二科目のテスト返却を終え、放課後となった。

「琴葉、かーえろ!」

 スクールバッグを持って私の机の前に立った藍梨だが、すぐに弓槻くんの方を見て「あっ、そっか」と気づく。

「うん。そういうことだから」

「それじゃ琴葉、また明日」

 去り際の彼女の顔には『やっぱり本当は告白なんじゃないの?』と、そう書いてあった。

「またね」

 私は顔に『残念ながら違いますよー』と書きつけて応戦した。

 クラスメイトたちがそれぞれ部活や遊びに向かい、教室に人がまばらになってきたころ。

「人に聞かれたくない話か?」

 弓槻くんが私の正面に立って問いかける。

「えっと……そうだね。できれば」

 朝に一度勇気を振り絞って話しかけたからか、弓槻くんが話しかけてきても緊張はさほど感じなかった。

「そうか。それならちょうどいい場所がある。行くぞ」

 歩き始める弓槻くんに続いて、私も教室を出る。