その趣味というのがまた特殊で、最新のゲームだったり、一昔前の流行だったり、すごくコアなものだったりするので、彼女と友人でいると、驚かされることが多くある。

 この前は、昼休みに延々と落語を聞いていたっけ。とにかく、規則性がないのだ。

 今も、ルービックキューブをカチャカチャと回している。そのうち、徳川の埋蔵金探しや廃墟巡りなんてのも始めそうだ。

「うわっ!? その膝、どしたの?」

 六面を完成させたルービックキューブを机に置くと、藍梨は私の膝の絆創膏を見て言った。

「ああ、これ? 昨日自転車で転んじゃって」

 私は苦笑いで応じた。トラックにひかれそうになったことは言わないでおく。

「ええっ、痛そう。大丈夫?」

 心配そうに顔をゆがめる。

「大丈夫だよ。ありがとう」

 こんな怪我なんかよりも大変なことが起こってるし……。

 自分の席に座り、机におでこをつけて大きく息を吐き出す。