「もし生まれ変わりがあって、運命が二人を結びつけるのなら、風香は僕に会いに来てくれる。運命なんてなければ、僕はずっと独りのまま。仕事を適当にこなして、死にながら生きていくだけ」
ああ。だから、あの日のシロちゃんの台詞は『会いに来て』だったのか。
月守風香が死んで、自分だけが生き残ってしまう。
そんな悲しい未来を、予想していたのかもしれない。
「でも、私は運命に導かれて、この高校に入学しました」
「うん。それはそうなんだけど。君は今は風香じゃなくて、鳴瀬さんだ。君自身の意志で僕を見つけてもらわないと、それは運命じゃない。だから、決して僕の方からは、運命の相手として君に接触はしない。これは、僕が自分に課したルールだ」
「私が弓槻くんと一緒になって、シロちゃんについて調べていることも知っていたんですね。だから生徒の個人情報も提供した」
「あれはただ単にオカルト研究同好会の顧問として……いや、それは言い訳だね。たしかに鳴瀬さんの言う通りなのかもしれない。君が僕を見つけやすいように行動した。少しだけ、ずるをしてしまった。君の探している運命の相手は僕だって、言ってしまえればどんなに楽だったか」
この人は、運命に全てをゆだねたんだ。
そして、私は――
「でも、君は会いに来てくれた。僕たちの再会は、運命によって決まっていたんだ」
運命。
この数日間で、何度その言葉の不確かさを感じたことだろうか。
「また、僕と一緒に生きてくれますか? 教師と生徒という立場上、今すぐには難しいけど、一年半なんてすぐだ。僕はもう、十七年も待ったんだから」