夏の風の記憶に、君と運命の恋を探す


 私は大きく深呼吸をする。

 目の前にいる運命の相手を見据えて、告げた。

「あなたが、シロちゃんだったんですね。榮槇先生(●●●●)
 
 シロちゃんは死んでいなかった(●●●●●●●●)

「やっと気づいてくれたみたいだね。また会えて嬉しいよ。風香(●●)

 動揺した様子もなく、それどころか楽しそうに榮槇先生は言った。

「あのときまだ、シロちゃんは生きていたんですね?」

 事故の記憶の最後の方。風香は、シロちゃんが死んでしまった思っていたけど、彼の命の灯火は、まだ消えていなかったのだ。

「ああ。風香に呼ばれながら、意識が遠のいていくのを感じた。死ぬのかと思った。でも、僕は起きたら病院のベッドの上にいたんだ。救助隊の人たちの迅速な行動のおかげで、ギリギリで生きたまま病院に運ばれた。残念ながら、あの事故で生き残ったのは僕だけらしいけど」

 榮槇先生は悲しそうな表情を浮かべる。

「手術を担当してくれた伊凪先生は、僕の命の恩人だよ」

 ここで、榮槇先生と伊凪くんのお父さんとのつながりが明らかになった。やはり、医者と患者の関係だったようだ。