じゃあ、私の推理はどこから間違っていた?
順当に考えれば、弓槻くんの言う通り、一つ下の学年から当たるべきだろう。
でも、もっと前の段階で、大きな間違いを犯している気がする。
シロちゃんの生まれ変わりを探すにあたって仮定した条件。
それを最初から遡っていく。
シロちゃんが嶺明高校に入学した。
シロちゃんが人間に生まれ変わった。
シロちゃんがバスの事故で――。
そして、そこにたどり着いたとき、全てのパズルのピースが、きれいにピタリとはまった。
信じられないけど、これしかないと思えた。
矛盾点はない。それどころか、全てに説明がつく。
でも、そんなことって……。
身体の震えが止まらない。
私は勢いよく椅子から立ち上がる。
「どうした? 大丈夫か?」
ただならぬ様子の私に、弓槻くんが心配そうな視線を送る。
「……今度こそ、全部わかった」
「運命の相手が、誰かわかったということか?」
弓槻くんの疑惑に満ちた声。
私だって、まだ完全に信じ切ったわけじゃないけれど、考えれば考えるほどに、それが真実だとしか思えなくなる。
「うん。間違いない。だから、シロちゃんに会いに行ってくる」
私の自信に満ちた表情を見て、弓槻くんも納得したようだ。
「……そうか。今から行くのか?」
「うん」
「少し待ってくれないか。その前に、君に話しておきたい冗談があるんだ」
この期に及んで冗談なんて、いったいなんのつもりだろう。
しかし、彼の目は真剣そのものだった。
冗談を言うような雰囲気ではない。



