夏の風の記憶に、君と運命の恋を探す


 じゃあ、私の推理はどこから(●●●●)間違っていた?

 順当に考えれば、弓槻くんの言う通り、一つ下の学年から当たるべきだろう。
 でも、もっと前の段階で、大きな間違いを犯している気がする。

 シロちゃんの生まれ変わりを探すにあたって仮定した条件。
 それを最初から遡っていく。

 シロちゃんが嶺明高校に入学した。

 シロちゃんが人間に生まれ変わった。

 シロちゃんがバスの事故で――。

 そして、そこにたどり着いたとき、全てのパズルのピースが、きれいにピタリとはまった。

 信じられないけど、これしかないと思えた。
 矛盾点はない。それどころか、全てに説明がつく。

 でも、そんなことって……。
 身体の震えが止まらない。

 私は勢いよく椅子から立ち上がる。

「どうした? 大丈夫か?」

 ただならぬ様子の私に、弓槻くんが心配そうな視線を送る。

「……今度こそ、全部わかった」

「運命の相手が、誰かわかったということか?」

 弓槻くんの疑惑に満ちた声。
 私だって、まだ完全に信じ切ったわけじゃないけれど、考えれば考えるほどに、それが真実だとしか思えなくなる。

「うん。間違いない。だから、シロちゃんに会いに行ってくる」

 私の自信に満ちた表情を見て、弓槻くんも納得したようだ。

「……そうか。今から行くのか?」

「うん」

「少し待ってくれないか。その前に、君に話しておきたい冗談があるんだ」

 この期に及んで冗談なんて、いったいなんのつもりだろう。

 しかし、彼の目は真剣そのものだった。
 冗談を言うような雰囲気ではない。