夏の風の記憶に、君と運命の恋を探す


「……ここは?」

 どうやら、たった今、意識を取り戻したらしい。危なかった。

「保健室だよ。弓槻くん、屋上から落ちそうになって、気を失って……」

「そうか……」

 上半身を起こして何かを考え込むような顔。
 彼は、それからたっぷりと数十秒黙り込んでいた。どうしたのだろうか。

「弓槻くん?」

 また気を失っているのかと心配になって、声をかける。

「ああ。君が助けてくれたんだな。ありがとう」

「いや、そんな――」

「今から俺が言うことは、決して冗談ではない。驚かずに聞いて欲しい」

 突然、弓槻くんはそんなことを言い出した。

 彼の今まで以上に真剣な雰囲気に、私は唾を飲み込む。

 そして、弓槻くんから告げられたのは、とんでもない一言だった。

「俺は、シロちゃんの生まれ変わりではなかった(●●●●●●●●●●●●●●●●●●)

「……え?」

 弓槻くんがシロちゃんの生まれ変わりだという事実を打ち明けられたり、かと思えば今度は違うって⁉ もう、わけがわからない。

「俺も、君と同じように前世の記憶がよみがえったんだ」

「記憶が⁉ それで、その記憶っていうのは?」

「今から話す」

 遠くを見るような目。