優柔不断で決断力のない私が、名前だけしか知らなかった嶺明高校に、こんなにひかれたのはなぜなのだろう。これが、運命に導かれるということなのだろうか。
さらに考えを先に進めてみる。
――見知らぬ他人同士だった二人は……運命に導かれて、ひかれ合う。
この台詞の、〝見知らぬ他人同士だった二人〟のうち、片方が月守風香の生まれ変わりである私だとすると、もう一人はシロちゃんの生まれ変わりということになる。
つまり、シロちゃんの生まれ変わりも、私の同級生の中にいるということだろうか。
もう少し考える時間が欲しかったけれど、色々なことが起こりすぎて身体的にも精神的にも疲弊していた。
また明日から、ゆっくり考えよう。私は目を閉じて、数分もしないうちに眠りについた。
完全に眠りに落ちる直前に、私が転倒する原因となった突風を思い出した。
あの突風のせいで、転んだ私は気を失い、謎の記憶に悩まされることになった。
穏やかな天気に突然吹いた、意志を持っているかのような風。
それはまるで――。