夏の風の記憶に、君と運命の恋を探す


 弓槻くんは一度深く息を吸って、再び話し始めた。

「でも、俺がシロちゃんの生まれ変わりだとしたら、つじつまが合う。すべてはこのときのためだったんだ。君の前世の記憶がよみがえって、同じ学校で同じクラスのオカルト研究同好会の俺に相談する。そして、この真実にたどり着く。全部、運命によって決まっていたことなんだ」

 弓槻くんの強い意志を感じる口調。
 今までにない熱を感じた。

「運命……」

 運命って、なんなんだろう。

 月守風香がシロちゃんと初めて会ったときの記憶で、私は運命を知った。

 けれど、弓槻くんからは、同じように運命を感じることは――。

鳴瀬(なるせ)琴葉(ことは)

 初めて弓槻くんに名前を呼ばれた。心臓が跳ねる。

 真っすぐに見つめてくる彼の瞳から、私は視線を反らすことができなかった。

「は、はい」

 慌てて返事をしたため、声が上ずってしまう。



「俺は、君のことが好きだ」


 
 胸の高鳴りはさらに激しさを増す。

「入学式で君を見つけたとき、運命だと思った。わけもわからないうちに君にひかれていった」

 言われて思い出す。

 入学式の日に、廊下で肩がぶつかった男子生徒。

 私を見て、なぜか驚いていた。

 あれは、弓槻くんだったんだ。