「でもまだ、先端恐怖症を克服した可能性が残ってる。三人に聞いてみなきゃ」
私がスマホを取り出そうとするのを、弓槻くんの声が遮る。
「俺がすでに聞いた」
私は弓槻くんの方に視線を戻す。
「残念ながら、残りの三人も尖ったものに対して、普通以上の恐怖心や苦手意識は昔からなかったと言っている」
「ってことは、四人とも――」
「そうだ。シロちゃんの生まれ変わりではない」
弓槻くんははっきりと断言した。
このとき私が味わったものは、暗く深い絶望だった。
絶望的な気持ちを抱えてうつむく私に、弓槻くんが言った。
「君に謝らなくてはならないことがある」
今までにないくらい、緊張を含んだ声だった。
「え?」
驚いて弓槻くんの方を見る。
口元が震えていた。
「俺は、一つだけ嘘をついていた」
決して私の方を見ようとせずに、足元のコンクリートに向かって台詞を吐き出した。
まるで、隠していた重大な罪を告白する直前の大罪人のようだと思った。
「嘘? それって……」