「まず、燈麻くん。二日前に、私たちが話を聞くために近づいて行ったとき、彼は友人に箸を向けられても平気な顔をしていた。さらに、デザートのリンゴを、爪楊枝を使って食べていた。だから彼は先端恐怖症ではない。つまり、シロちゃんの生まれ変わりでもない」
これで、まず一人。
「そうだな。残りは三人だ」
「次に、仙田くん。彼は叔父さんの経営するバーで働いている。叔父さんはこう言っていた。『カクテルを作ったりアイスピックで氷を削ったり、ある程度はできるようになってきて、ちょっとはバーテンダーらしくなってきたかな』って」
「たしかに言っていたな」
「アイスピックを使っている仙田くんが、先端恐怖症なわけがない。だから仙田くんもシロちゃんの生まれ変わりではない」
二人目。
「ということは、同じ理由で洸も除外できるな」
立て続けに三人目。
「うん」
外科医になろうとすれば、注射器やメスなどの手術器具といったような、先の尖ったものを避けることはできない。
先端恐怖症の人間が外科医を目指すことは、あり得ないと言い切れないまでも、考えづらい。
つまり、伊凪洸もシロちゃんの生まれ変わりではない。
これで四人中、三人が除外された。
つまり、残った一人がシロちゃんの生まれ変わりということになる。