弓槻くんはすでに待っていた。
 フェンスに寄りかかっている。

 空は青く晴れ渡っていて、太陽を遮るものは何もない。
 じめじめした暑さに顔をしかめながら、私は彼の元へ向かった。

「お待たせ」
 私は歩み寄って声をかけた。

 ぬるい風が、弓槻くんの髪をさらさらとなびかせる。

「来たか。君の運命の相手について、全部わかった。今から、シロちゃんの生まれ変わりが誰なのか、その真実を話そうと思う」

 いつも通りの鋭い目つきだったが、声には微妙に緊張の色が含まれている。

「待って」
 そこへ私は口をはさむ。

「どうした?」
 急かされることはあっても、待ったをかけられることはないだろうと思っていたようで、弓槻くんは怪訝そうな顔をした。

 もしも間違っていたらどうしようと、ここまできて不安に駆られる。

 いや、自信はある。
 きっと、弓槻くんと同じ答えのはずだ。

 私は、意を決して口を開く。

「昨日、シロちゃんが誰なのか、私なりに考えたの」

「そうか。それで?」

「私も、誰がシロちゃんの生まれ変わりなのか、わかったんだ」

「ほう。聞かせてもらってもいいか?」

 弓槻くんは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに興味深そうに微笑した。

「もちろん」