私は、榮槇(さかまき)先生を好きになってしまった。

 それとは別に、シロちゃんにひかれている自分もいる。

 この気持ちが本当に私のものなのかどうかすら、わからなくなってきた。

 月守風香の記憶と一緒に、彼女の想いが残っていただけなのかもしれない。

 それならば、シロちゃんにひかれているのは私ではなくて月守風香だ。

 恋愛なんてまともにしたことのない私が、こんな状況になるなんて。

 頭がパンクしそうだ。
 どうすればいいかなんてわからない。

 私は自分の気持ちすらも、まだはっきりと理解できていなかった。

 人を好きな気持ちに、大きさはあるのだろうか……。

 そんな不毛なことまで考えてしまう。

 とにかく今は、真実をはっきりさせることが最優先だ。

 私は屋上へと向かった。
 夏の本格的な暑さに汗をかきながら、階段を上っていく。

 安全のためのフェンスに囲まれた屋上に足を踏み入れた。