それにしても、ピンポイントで猫が苦手な人がいないのは困ったものだ。
かといって、それ以外のところで推理できるとは思えないし……。
小説家を目指して、休みの日も部室で執筆する與時宗。
暑い中、大会で勝つために部活に打ち込む燈麻実律。
叔父さんに憧れて、バーテンダーになるために修行を積む仙田朔矢。
医者を目指して、現在の成績に満足することなく、ひたむきに勉強に励む伊凪洸。
目標はそれぞれ違うけれど、四人とも本気で目指しているものがある。
私には何があるんだろう。
ふと、そんなことを思った。
シロちゃんの生まれ変わりが誰か考えていたはずなのに、いつの間にか自己嫌悪に陥ってしまっていた。
藍梨にでも話を聞いてもらおうと思い、ポケットからスマートフォンを取り出すと、タイミングよく着信があった。
ディスプレイには『燈麻実律』と表示されていた。予想外の名前でちょっと驚く。
そういえば、話を聞いたときに連絡先を交換したんだっけ。