仙田朔矢くんは、ファッション雑誌に載っていてもおかしくないような、爽やかな人だった。
高校の近くのお洒落なカフェでアルバイトに励んでいる。
マスターは仙田くんの叔父であり、その関係で夜にバーの仕事も手伝っているという。
また、小さいころから叔父に憧れていて、バーテンダーを目指して修行をしている。
その修行で身に付けたであろう営業スマイルに、一瞬ドキッとしたけれど、運命とかそういうものはないように思える。色々と釣り合わなすぎて、彼と一緒にいるところは想像できない。
潔癖症で、猫を含めた動物全般が苦手。
弓槻くんと同じ中学校出身の伊凪洸くん。
人を寄せ付けない雰囲気みたいなのがあって、私は少し苦手。
お父さんが外科医で、榮槇先生もお世話になったことがあるらしい。
伊凪くん自身も同じように医者を目指していて、テストでは上位をキープし続けている。
医者というよりは、死神というイメージ。
怖くて近づくこともできなかった。
少し悪口みたいになってしまったけど、初対面で〝そこの女〟なんて呼ばれたし、これくらいはいいよね。
猫は嫌いと言っていたけど、そもそも生物全般が嫌いで、人間に至ってはもっと嫌いらしい。