バスの席決めの記憶。

 修学旅行の二週間前。
 修学旅行が楽しいイベントになることを、誰一人として心から信じて疑っていない。そんな明るい雰囲気の中で行われた学級活動。

 担任の先生に対して、お調子者の篠崎(しのざき)くんが茶々を入れていたシーンだった。

 月守風香はシロちゃんとアイコンタクトで会話をした。

 このときにはすでに、風香とシロちゃんは、心の通った恋人同士となっていた。

 ああ、そうだ!
 シロちゃんとは別に、もう一人顔が思い出せない人。
 それが、このときの記憶の先生だった。

 ということは、先生も生まれ変わって、今の私と会っている可能性がある。
 誰だろう……。

 私が今まで生きてきた中で会った人は決して少なくはないし、きっとこの人だ、などという推測が成り立つわけでもない。

 また疑問が一つ増えたけれど、シロちゃんの生まれ変わりについてはあまり関係ない気がする。