榮槇先生のこともあって、心配性に拍車がかかっている。

 ひかれあうはずの運命の相手ではない人間を、私は好きになってしまったのだろうか。

 違う。きっと、これは錯覚だ。

 偶然、榮槇先生に助けてもらったときに、シロちゃんと初めて会った記憶を思い出しただけ。

 そのときの気持ちを、私の脳が勝手に目の前の榮槇先生と結びつけて、恋と勘違いしたのではないか。

 そうでなければ、試練だ。

 私に関係のない人間への好意を抱かせたうえで、それを跳ね除けて、運命の相手を選びとってみろと、神様か誰かが仕組んだものなんだ。

 本当にそうなのだろうか。
 不安になる。

 でも、シロちゃんと月守風香をつないでいた赤い糸を、今は信じるしかない。

 赤い糸の一端は、今は私に結ばれているのだから。
 あとは自分で手繰り寄せればいい。

 弓槻くんは答えがすでにわかりかけている様子だった。
 それならば、私でも答えにたどり着けるかもしれない。

 大切な人なら、自分で見つけなきゃ。

 そんな気持ちが、ふつふつと湧き上がってきた。