帰宅してすぐに、リビングのソファにダイブする。
物心ついたときからこの家にある白いソファは、その高い弾力で弱気な私を受け止めてくれた。
冷房の効いた部屋で冷やされた表面の革が、ひんやりとして気持ちよかった。
「猫じゃなかったらなんなのよ……」
私の呟きは、あごの下敷きになっているクッションに飲まれて消えた。
真実は目の前にあるはずなのに、届かないもどかしさ。
けれど、それを知ってしまうのも怖いと思う私もいて。
どうしても、その先のことを考えてしまう。
私とシロちゃんの生まれ変わりは、月守風香とシロちゃんがそうだったように、運命の赤い糸でつながっているはずだ。
不思議な力によって、私とその人はひかれあう。
でも、もし何かの間違いがあって、シロちゃんの生まれ変わりに、私が拒絶されたとしたら……。
正体が明らかになった彼のことを、私が好きになれなかったとしたら……。
そんな懸念におびやかされる。
すぐにネガティブになってしまうのは私の悪い癖だ。