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君に出会ったときに、運命を感じた。
入学式の日に、君と肩がぶつかって振り返った。
文字通り、言葉を失った。
一目見た瞬間に、体に電撃が走った。
自分はこの人のために生まれてきたのだと思った。
こんな気持ちは初めてだった。
けれども君は、こっちなんか見向きもしない。
まだ、運命に気づいていない。
それでも自分には、君を幸せにする役目がある。
だから懸命に、この気持ちに蓋をして、心の奥底に閉じ込めた。
ずっとずっと、このままでいい。
君さえ幸せになってくれれば、それで――。
ある日君は、運命の人を探し始めた。
君と話をしたときに、すぐにピンときた。
自分がその運命の人だと知ったら、君はどんな顔をするだろう。
君の驚いた表情が目に浮かぶ。
それなのに――君に一つ、嘘をついてしまった。
それは、自分の弱さが招いた嘘だった。
全てが終わったら、真実を打ち明ける。
だからどうか。
どうか今は、この嘘を許してほしい。
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