「ああ。明日から夏休みになるが、何かわかったことがあればすぐに連絡する」

「うん。あの……迷惑じゃない?」

 恐る恐る聞いてみる。

「迷惑?」

「色々と手伝ってもらってるけど、全部弓槻くんに任せっきりだし、全然役に立ててる気がしないし」

 前に進んでいるはずなのに、真相が全く見えてこない現実に、不安を抱かずにはいられない。つい、弱音を吐いてしまう。

「前も言っただろ。俺が好きでやっていることだ。気にしなくていい。それに、もうすぐなんだ。早ければ明日にでも、全てが明らかになる」

 私の不安を払拭するかのような、不敵な笑みだった。

 弓槻くんは、私の知らない情報を持っている。
 直感的にそう思った。

 それがなんなのかは、まだわからない。
 聞いても教えてくれないだろう。

「俺はシロちゃんの生まれ変わりの正体を解き明かして、結末を君に全て伝えることを約束する。絶対にだ。今は一つだけ言っておく。君の運命の相手は、必ずいる。だから安心してくれ」

 まだ弓槻くんとは数日間の付き合いしかないけれど、私はその言葉を信じることができた。

「でも、それが誰かわからないのなら、いないのと一緒だよ」

 やっぱり不安で、部室を出たあとに、そう小さく呟いた。

 私だけが置いていかれているような疎外感。
 チョコが亡くなったこともあって、不安は大きくなる一方だ。

 あまりいい雰囲気とは言えないまま、私は夏休みを迎えた。