「ふむ……。ああ、そうだ。顔が思い出せない理由がわかったかもしれない。現世で、その人物、もしくはその人物の生まれ変わりに会っている場合、前世の記憶で顔が思い出せないことがあるみたいだ」
「現世で……?」
「ああ。つまり、君はすでにシロちゃんと会っている可能性が高い」
「会っているっていうのは、どの程度? 友達? 知り合い? それとも、ただ見たことだけある人も私と会っているってことになるの?」
もしその境界がわかれば、四人の候補をさらに絞り込むことができるかもしれない。
私は弓槻くんに詰め寄った。
「残念ながらそこまでは俺もわからないんだ。だから結局、四人の候補からは誰も除外できないことになる。ただ、君が今まで認識していなかった人間は除外されるから、四人の中にシロちゃんの生まれ変わりがいなかった場合でも、かなり候補は少なくなるというだけだ」
「そっか」
少し落胆する。
けれど、利害が一致しているとはいえ、直接関係ないはずの私の問題に、弓槻くんは全面的に協力してくれている。
何もできない私が落ち込むのは、彼に申し訳ない。
それと……。シロちゃん以外にもう一人、記憶では見たのに、顔を思い出せない人がいた気がする。
あれは……誰だっけ。